作家を食べさせるための道筋の話が出来ない編集者とは組まない方がいい件

イラストレーターに払う予算も組めない案件が宣伝や実績になることはありません。
いいこと何もないから請けちゃだめよ。

デザイナーが断るべき値引き交渉例
・お友達価格でお願い
・今後も仕事頼むから今回だけは
・もっと簡単に作れない?
・他のデザイナーはもっと安い
・実績として好きに出していいので
・その金額だと社内で通らなくて
・慈善事業だからお金がなくて

出版業界の末端にいて、業界人と話すときにすごく違和感があるのですが、出版業界の人って「作家をどうやって食わすか」ということを考えないんですよね。企画宣伝マーケティングといった話は喜んでするけど、作家を食べさせるための道筋の話をしようとするとすごく嫌がる。

「フリーランスはサラリーマンの3倍稼がないと回らない」とよく言われますよね。たとえばサラリーマンの年収を200万円としたとして、3倍の600万を稼ぐには、原稿料&印税のマンガ家の場合

・ページ1万円の原稿料で月産32ページ(休載なし)
・印税10%・2万部の単行本を年2冊

が必要です。

正直な話、業界人や大半のマンガ家が見れば「無茶言うな」というであろう数字が並んでおりますw
でもね、実際のところマンガ家のこの「原稿料&印税10%モデル」って「単行本が2万部売れればカツカツやっていける」感じの設計になってるんですよ。問題は出版不況で1万部すら怪しい状況になってることで

ざっくりした計算になりますけど、
定価500円・印税10%のマンガ単行本が2万部刷られれば作家に100万円入ります。100万円の印税収入があればいろいろな所の支払いをすませて、ギリギリなんとかやっていける。でもこれが1万部だと50万円です。ちょっと…というかかなりムリです。

小説家やイラストレーターは兼業の方が多いですが、マンガ家は作業量的に兼業がかなり難しい。基本は商業連載だけで食い扶持が確保できなければならない。今世紀初頭くらいまではなんとかなってたんですが、この15年で単行本の売上がざっくり半減しまして「マンガで食べる」のが困難になりつつあります

現行のモデルがほぼ破綻しているので、どこかを見直して収入を増やしていかないとマンガ家さんが死ぬのですが

①原稿料を上げる
②印税率を上げる
③マンガの単行本の定価を上げる
④電子書籍の権利を出版社に渡さず、作家自身が管理することで電子の印税を実質的に上げる

選択肢はこんなところです


10万部の本年三冊出すのと、noteで3500人毎月500円取るのが同等、これからの漫画家はそうするべきとかいう意見を見ました。
自分はnoteで連載して、かなり上位で読まれてると思いますが、その感覚から言うと500円ファンを3500人捕まえる続けるのは超難しいです。
10万部の本を年三回出す方が簡単です。